東京朝鮮学校美術部 僕らはアートで物申す /芸術新潮2020年3月号 Review記事から抜粋

 

 東京朝鮮中高級学校の美術部のツイッターに寄せられた中傷メッセージが書き出され、ズラリと並べられている[上]。美術部の部員によるインスタレーションである。つまりは、“ヘイト”に対する“アート”による返答。今年で14回目を迎えた同校美術部の美術展には、絵画はもちろん、立体作品も展示され、部員たちによるパフォーマンスもあった。美大入試の仕組みから、高校の美術部はもっぱら技術を磨く場となりがちだが、彼らは「ふじゆうトピア」(=このふじゆうな世界こそがユートピア)と展示コンセプトを定め、在日朝鮮人の中高生として、いま考えていること、感じていることを作品として表現している。資金はクラウドファンディングで募り、目標額の40万円をクリア。外部アーティストの参加も受け入れている。まっすぐに表現された生徒たちの作品を見ながら、日本の美術教育の在り方を考えさせられてしまった。